頭皮毒デトックス

頭皮のかゆみ、ベタつき、脂、独特な匂い。気になることたくさんありますよね。これらを放置してると抜け毛や薄毛になっていきますから。変にシャンプーしまくるよりも自分にあったお手入れを見つけましょう。

ノコギリヤシは天然の抜け毛予防成分

ノコギリヤシは古来からの民間薬

ノコギリヤシで育毛、脱毛予防という話を聞いたことがあるかもしれません。天然の抜け毛予防成分として知られているのがノコギリヤシです。古来より男性の強壮、利尿、鎮静効果のある民間薬として使われてきました。

ノコギリヤシは、日本国内ではまず見ない植物です。ヤシ科の植物で主に、北米からメキシコにかけて自生しています。古くからネイティブアメリカンの人達の間ではノコギリヤシの果実に含まれる有効成分が、前立腺肥大による排尿の障害を予防したり、改善のために使われてきました。スタミナ食として、食べられてもきました。

日本ではそれほど知名度がなかったノコギリヤシですが、中国や欧州でも使われていました。中国では漢方薬として、よーローっぱではハーブとして使われ、泌尿器の病気に効果があるとされています。最近は徐々にノコギリヤシの臨床研究も進んできました。そして医薬品として登場することも多くなってきています。

そんなノコギリヤシですが、抜け毛予防成分として使われるようになったのはどのような背景があったのでしょうか。

男性ホルモンを制御する5αーリダクターゼ

まず理解したいのが抜け毛にホルモンの変化が影響を与えているということです。特に男性型脱毛については遺伝と男性ホルモンが影響を与えているとされています。テストステロンという男性ホルモンが酵素の働きでDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンに変化すると、男性だけでなく女性にも脱毛の影響を与えるのです。なので、このDHTは脱毛ホルモン、悪玉ホルモンという呼ばれ方をしています。

脱毛ホルモンは皮脂を過剰に分泌させます。いわゆるベトベトの状態にしてしまうのですが、この過剰な皮脂によって毛母細胞がうまく細胞分裂ができなくなってしまうのです。いくら量より質だといっても、過剰にある皮脂は毛穴を防いでしまうので、悪影響以外の何者でもありません。毛母細胞はこれにより細胞死に至ることになります。

先ほどDHTが酵素の働きで発生するといいましたが、その酵素は5αーリダクターゼといいます。要はこの酵素があるからDHTが発生してしまうと考えることができますので、従来の育毛剤は5αーリダクターゼの働きを抑えることを目的としていました。どうやっていたのかというと、男性ホルモンの働きを抑えるべく、女性ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)を育毛剤の主成分としていたのです。これは女性にとっては男性よりは相対的にやりやすい育毛方法でした。というのも女性の体というのはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)によってコントロールされ、時にはエストロゲン過剰になっていることがあるので、黄体ホルモンであるプロゲステロンを投与することはホルモンバランスの改善になるからです。

しかし一方で男性に対して女性ホルモンを投与するのは、なかなか勇気がいることになります。少なくとも積極的に投与するわけにはいきません。男性としてのホルモンバランスが崩れてしまうことになりますから。

こういった背景を受けて登場が待たれたのが天然の成分でプロゲステロンと同じような働きを持つものです。そしてそれを頭皮や髪に与えてあげれば、DHTを発生する酵素の働きを抑えることができるはずです。それがノコギリヤシだったのです。

ノコギリヤシはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、リノール酸といった脂肪酸の混合物で、プロゲステロンに似た構造を持っており、そのためDHTを発生する酵素である5αーリダクターゼの働きを抑えることができるというわけです。

活性酸素に注目せよ

ノコギリヤシの発見、活用は画期的と言えますが、含まれる脂肪酸が珍しい特別なものかというとそういうわけではありません。だとすると普段の食事から摂る脂肪酸でも同じような効果が期待できそうですけど、そうはいかないのが加齢という事情が加わってくるからです。

加齢による影響の一番大きなものは代謝の低下です。その際に気になってくるものといえば加齢臭。最近は男性ばかりでなく女性の加齢臭というのも注目されています。節目になってくるのが40歳という年齢。この頃から2ノネナールという物質が増えてきて加齢臭が出てくるのです。この2ノネナールにも脂肪酸が関係しています。皮脂に含まれる不飽和脂肪酸の一つにパルミトレイン酸というのがあるのですが、それが変化してできる物質です。

ただ、この2ノネナールの匂いですが、油臭くて青臭いのですが、熟成したビールとソバの重要な芳香成分でもあるのです。こういったところはなかなか微妙ななんとも言えない部分ですね。

しかし、この2ノネナールに変化するパルミトレイン酸ですが、これといった珍しい脂肪酸ではないですし、さらに言えば、美容にいい効果をもたらす脂肪酸として語られることもあります。動物性食品だとクジラ、牛肉、鶏肉、アユ、アンコウなど、植物性食品だとマカダミアナッツオイルやオリーブ油に入っています。このパルミトレイン酸が不足すると老化肌になりやすくなり、マカダミアナッツオイルなどの化粧品として利用されてもいるくらいですから。つまり40歳というのはあくまで節目であって、20代30代であってもパルミトレイン酸が2ノネナールになり得るということです。

では何がパルミトレイン酸を2ノネナールにするのでしょうか。これには活性酸素の働きが大きいと考えられます。体内で発生した活性酸素をがパルミトレイン酸を過酸化物にすることで最終的に2ノネナールに変化させてしまっているのです。要は老化現象の一つということです。元々のパルミトレイン酸が何か悪さをしているということではないというところがポイントです。

パルミトレイン酸は体内に通常存在している脂肪酸ですから頭皮に存在していることもあるでしょう。そしてそのパルミトレイン酸が活性酸素によって過酸化物になることが考えられます。もしくは他の脂肪酸であっても活性酸素によって過酸化物になることは十分に考えられますから、それが頭皮であろうと頭皮でなかろうと過酸化物になることで老化がどんどん進んでいくということになります。

場所によってはそれは加齢臭となりますが、頭皮の場合は毛母細胞が死滅するという結果になり、髪の毛のサイクルであるヘアサイクルの途中にある毛が栄養補給を断たれた結果細胞分裂をやめてしまい、脱毛の時期を早めてしまうということになります。

つまり加齢臭と脱毛というのは根本原因は活性酸素の発生という同じところから発生している現象ということができます。これまでイメージでしかなかった、髪の薄い人から漂ってくる加齢臭というものが結びついて考えられるということです。

加齢臭というと、どうしても年齢が上がってくると発生してしまうもの、と諦めてしまいがちですが、こうやって見ていくと、いかに活性酸素を発生させないか、ということを考えることで対策は立てられるのではないでしょうか。というかむしろ対策を考えていかないと、どんどんと活性酸素によって体の酸化が進み、加齢臭、脱毛だけではない様々な弊害が出てくることが考えられます。従来の育毛対策のように単純に皮脂を除去するといったことをもう1歩勧めて考えていくにはこの活性酸素の発生を抑えるということは必ず必要になってくる対策というのは間違いないと言えそうです。